こんにちは、箱庭皇帝です。
私を含め重症アトピー患者のなかにはいわゆる標準治療に従っていてもアトピーが治りきらない人は少なくありません。その場合、薬や保湿剤だけでなくアトピーによいとされるものがあれば何にでも縋りつきたくなるのが人情というものでしょう。
その候補として真っ先に注目されることが多いのがサプリメントです。一般に医薬品と比べるとサプリメントの効果は地味であり、アトピーの劇的な改善というのはそれほど期待できませんが、サプリメントでアトピーがはっきりと改善したという声が少なからずあるのもまた事実です。
ということで、当記事では、私がネットをいろいろ調べまわって一考の価値があるかなと感じたサプリメントを紹介していきたいと思います。
セラミド
アトピー患者でセラミドについて聞いたことがない人はあまりいないでしょう。
近年アトピーの根本的な原因として肌のバリア機能の低下があげられています。バリア機能低下の原因の一つとして考えられているのが、角質細胞間脂質であるセラミドの不足です。その不足しているセラミドを補うことで、肌のバリア機能が回復し、結果としてアトピーの改善にも繋がるのではないかと考えられています。
セラミドの補い方としてはおもに保湿剤のかたちで外から供給するか、サプリメントのかたちで内から供給するかの二種類があります。
保湿剤は一般的な方法ですが、保湿剤に含まれる成分がアトピー肌には刺激が強く、かえって逆効果になることも少なくありません。よってアトピー肌の人には経口摂取のほうが肌との相性を考えなくていいという点では好ましいと言えるかもしれません。
問題は経口摂取したセラミドが体内で消化という過程を経たうえでちゃんと機能しうるのかですが、これは現時点(2023年11月)で、否定肯定両方の意見があります。私の調べたかぎりでは、いくつかのエビデンスが報告されてはいるもののいまだ明確なエビデンスとまで言えるものはほとんどない、といったところでしょうか。
ところで白状すると、私はこれまでサプリメントの効果全般にどちらかといえば懐疑的だったのですが、じつはだいぶ昔にこのページを読んで某社のこんにゃく芋由来セラミドを試してみたところ、驚いたことに数日後から肌の調子がよくなったんですよね。ただしそれがセラミドサプリの効果によるものなのか、アトピーの好調の波とたまたま重なったものなのか判断できないまま飲むのをやめてしまいました。やめた理由は単純で、十分量のセラミドをとろうとすると金銭面で負担になるからです(このときは初回お試し価格で安く買えました)。逆に言えば、私にお金の余裕ができたら真っ先に再開したいサプリメントがセラミドだったりします。
セラミドの一日摂取目安量はその原材料に応じて変わるそうです。たとえばこんにゃく由来セラミドなら0.6mg/日、米由来なら1.8mg/日、トウモロコシ由来なら2mg/日などです(製品によっても若干異なります)。とはいえ悪質な商品でないかぎり、パッケージに記載された用法用量を守っておけば必須量は上回るようになっているでしょう。
ちなみに基本的にサプリメントはとりすぎもよくないのですが、アトピー患者の場合セラミドについては若干多めにとったほうが原理的にはいいような気がします。
ビタミンD
アトピー患者にはビタミンDが不足している傾向があるという説は以前からちらほら見受けられます。こういうときに注意しなければならないのは、(因果関係があったとして)ビタミンDが不足しているからアトピーが悪化するのか、アトピーが悪化するからビタミンDが不足するのかという因果の向きです。ビタミンDについてはどちらの説もありますし、そもそもアトピー性皮膚炎とビタミンDの過不足には関連が見られないという報告もあります。
まあぶっちゃけサプリメント関連の研究はあやふやなものが多いし、結果もコロコロ変わるので、ここでは効果がある(ビタミンDの不足→アトピー悪化)と仮定して話を進めましょう(以下の節も同様です)。
アトピー性皮膚炎改善に対するビタミンDの具体的な役割についてはよくわかっていないようですが、ビタミンDの働きとしてあげられるもののうち、
- ケラチノサイト(表皮角化細胞)の異常な増殖・分化を抑制する
- 免疫細胞の働きを抑制する
これらのあたりが関連しているのかもしれません。
またアトピー性皮膚炎の治療法の一つとして光線療法というのがありますが、ビタミンDも紫外線を浴びることで合成が誘発されます。このあたりも何らかの関係が示唆されます。
※通販サイトでビタミンDを検索するとビタミンD3(コレカルシフェロール)というのがよく見られますが、ここでは同じようなものだと思っていただいて結構です。
またマグネシウムにはビタミンDの活性化作用があると言われています。
その他、骨強化の目的なら、ビタミンKやカルシウムも同時に服用するとより効果があるそうです。
→全部入りなら「小林製薬の栄養補助食品 カルシウムMg」
ビオチン療法
アトピー関連のサプリメントではビオチンもよく名前があがります。ビオチンは別名ビタミンB7とも言われ、ビタミンB群に含まれます。
ビオチンには様々な役割がありますが、アトピー性皮膚炎と関連がありそうなところでは、
- ビオチンが不足すると、肌荒れや脱毛が起こる
- ビオチンは肌のターンオーバーを促進し、皮膚の炎症を抑える
- ビオチンは痒みを引き起こすヒスタミンの産生を抑え、尿からの排泄を促進する
あたりでしょうか。
多くの人は通常の食事で必要量をまかなえるのでビオチンが欠乏することはほとんどないのですが、まれにアトピー患者で血中ビオチン濃度が低い人がいて、そういう人はビオチンを積極的にとるようにするとアトピーが改善する例もあるとのことです。
ちなみにビオチン療法はビオチン単体では効果が薄いらしく、ビタミンCや善玉菌を併用することが望ましいとのことです。なぜ善玉菌かというと、腸内細菌のなかにはビオチンを破壊してしまうものがあるらしく、善玉菌を飲むことでビオチンを破壊しないような腸内細菌を優勢にしようという理屈だそうです。善玉菌ってたくさんあるけどどれがいいの?って話ですが、通常はミヤリサンというのを選択しておけばいいらしい。
ビオチンの摂取量の目安は18歳以上の男女で50㎍/日となります。
→iHerbにはミヤリサンらしきものが見当たらないのでかわりに別の善玉菌であるアシドフィルス菌
オメガ3脂肪酸
人が自身で生合成できない必須脂肪酸の代表的なものとして、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸があります。オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸はたがいに拮抗的に働き、前者は外部から侵入した病原菌を攻撃する免疫反応を促進し、後者はそれを抑制します。
どちらも人が生きていくうえで必要な物質ですが、現代人の食生活ではオメガ3脂肪酸が不足する傾向にあるそうです。オメガ6脂肪酸が過剰になると免疫反応も過剰になり、アトピーに関わるところでいうと皮膚の炎症に繋がります。そのためオメガ3脂肪酸サプリを摂取することで免疫過剰が抑えられ、ひいてはアトピー性皮膚炎も改善するという理屈のようです。
繰り返しになりますが、健康維持にはオメガ6脂肪酸も必要で、オメガ6とオメガ3を2:1の割合で摂取するのが理想だとされています。ちなみに現代日本人の一般的な食生活ではこれが10:1とかそれ以上に離れているそうです。
オメガ3脂肪酸の代表的なものには、α-リノレン酸、DHA、EPAがあります。
亜鉛+ビタミンA
亜鉛は正常な肌を合成・維持するのに必須のミネラルですが、アトピー患者には亜鉛が極端に欠乏しているケースが少なからず見られるそうです。これは亜鉛が少ないからアトピーが悪化するのか、傷ついた肌を修復するのに大量の亜鉛が消費されるから欠乏するのか、どちらの可能性もあります。いずれにせよ不足した亜鉛をサプリメントで補うことでアトピーが改善する事例はあるのは事実のようです。
また肌の修復を助けるビタミンAと併用することでより効果を発揮するとも言われています。
注意点としては亜鉛をとりすぎると鉄と銅の吸収が妨げられる危険があるとのことです。
ビタミンE+ビタミンC
皮膚の細胞の細胞膜を構成するリン脂質が酸化されることで細胞は劣化していき、ひいては肌のバリア機能の低下に繋がります。ビタミンEは脂溶性のビタミンで、強力な抗酸化作用があり、リン脂質の酸化を防ぐ効果があることから、肌のバリア機能低下を抑制し、アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐ効果が期待されます。
またビタミンEには肌の新陳代謝や血行を促進する働きもあるといわれています。
ビタミンEには天然型ビタミンEの「d-α-トコフェロール」、合成型ビタミンEの「dl-α-トコフェロール」が存在し、天然型のほうが抗酸化作用が強いと言われているので、成分表示を確認してから購入するといいでしょう。
ビタミンCは水溶性のビタミンで、やはり抗酸化作用があるほか、肌の炎症を抑えたり、コラーゲンの産生に必要だったりと肌の改善に関わる種々の働きがあると考えられています。
ビタミンEとビタミンCを同時にとることで抗酸化作用の相乗効果が期待できます。またビタミンCには効力を失ったビタミンEを再生する働きがあります。
乳酸菌
以前から腸内の細菌環境(以下、腸内フローラ)が改善するとアトピーも改善するという説は根強くあります。腸内フローラの改善にはプロバイオティクス・プレバイオティクス・シンバイオティクスという3つの手法がよくあげられます。
プロバイオティクスというのは「腸内フローラを望ましい状態に変化させる微生物」のことです。
プレバイオティクスというのは「腸内の望ましい細菌の餌となり、その細菌の増殖を促進する食品成分」のことです。
シンバイオティクスというのは上記二つを組み合わせたものです。
乳酸菌は上記のうち、プロバイオティクスの代表的なものになります。
乳酸菌一つとっても、その種類は何百とあって、効果も異なります。なかには特定の乳酸菌をとることでアトピーが劇的に改善したという声があるのも事実です。
アトピーに効果があると期待される代表的な乳酸菌として、以下のものがよくあげられます。
- クレモリス菌FC株(カスピ海ヨーグルト) ※フジッコが研究
- L-92乳酸菌 ※アサヒグループが研究
- K-2乳酸菌(植物性ラクトバチルス乳酸菌) ※亀田製菓が研究
→Amazonのフジッコ クレモリス菌FC株(カスピ海ヨーグルト)
→Amazonのフジッコ クレモリス菌FC株(善玉菌のチカラ)
→楽天市場のフジッコ クレモリス菌FC株(カスピ海ヨーグルト)
なお腸内環境の変化には当然ですがよい変化も悪い変化もあります。明らかに体調が悪くなったのに摂取しつづけるのは逆効果です。善玉菌という名前に引きずられないようにしましょう。
最後に
最後になりますが、一般に1回の服用あたりのサプリメントの効果は微々たるもので評価は非常に難しいです。またセラミドの項でも触れたように、そもそもアトピー症状には何もしなくとも好不調の波があるので、そのサプリを飲んだタイミングがたまたま好調の波に重なっただけというケースも往々にしてあります。そうしたことを踏まえたうえで、当記事にて紹介したサプリメントに気になるものがあれば、ぜひとも試してみてください。